プログラミングの楽しさ。オープンソースとの出会い。

が出版され、『私と Ruby と添削と』という内容で寄稿しました。私がどうプログラミング・オープンソースの楽しさを知ったかについての昔話です。公開して良い、とのことなので公開いたします。

なお、文章中に出てくる tdiarytimes.rb のコードは以下です。9年前に書いたコードなので今読み返すと恥ずかしいを通り越してもはや微笑ましいですね!!1これでも当時は、自分なりにできるだけ綺麗なコードにして公開した記憶があります。

私と Ruby と添削と

プログラミング技術の向上させるには、どういう方法があるでしょうか。プログラミングに関する書籍を読む、オープンソースで公開されているコードを読む、優秀な同僚と働くうちにテクニックが身についてくる、などなど様々な方法があるでしょう。

昔話をしましょう。私がプログラミングの楽しさを知り、プログラミングにのめり込んでいったのは大学三年生の時でした。当時プログラミングがあまり好きで無く、ほとんどコードをかけなかった私は、大学の研究室でコードを書く必要に迫られなんらかの方法でプログラミングを習得する必要がありました。

しかしながら、漠然とプログラミングを覚えようと思ってもすっと習得できるわけではありません。大学で習うプログラミングの話は、UML モデリングやオプジェクト思考の考え方で、アニマルクラスを継承して犬や猫が、といった概念的な話であったりしたため、そもそもプログラミングがよく解らない私にとってそのような高級なレイヤーの話はさっぱりでした。

そこで自分が作りたいものから作ってみようと思い、自分が使っていた日記システムに機能を増やしてみよう、と考えました。幸いにも使っていた日記システムが、プラグインで拡張可能な Ruby で書かれた日記『tDiary』であったため、そのプラグインを試行錯誤しながら書いてみました。

実際に書いてみると、常日頃から使っているものが自分が手を加えることにより変化する、という何かを創造しているような万能感が楽しく、みるみるうちにプログラミングに嵌まっていきました。

なお当時(2003年) 周りでは phpJava が流行っていましたが、周りと違ったことをしたいと思っていた自分は、当時ではまだまだマイナーだった Ruby を書ける自分カッコイイ的な中二病的な感覚に酔いしれたいと思って居たのも良い思い出です。

そんなプログラミングの楽しさが徐々に解ってきたときに、MTBlogTimes という投稿した時間帯によってバーコードのような画像にラインを刻む(画像検索するとどんなものかすぐ解ると思います) Movable Type のプラグインがシンプルでかっこよかったため、それを tDiary のプラグインとして実装した tdiarytimes.rb というライブラリを公開したところ、tDiary 作者のただただしさんの目にとまり、tDiaryCVS レポジトリの中に入れてもらえました。

自分が作ったものが本家のコードに入るなんて!と大変喜んだのですがそれだけではありませんでした。本稿で推薦している本の作者、青木峰郎さんが tdiarytimes.rb をクラス分けし継承し、クラスごとに画像の見せ方を変え、オブジェクト思考の実装を入れ、大幅にリファクタリングしてくださったのです。このリファクタリングにより、クラスの使い方、継承の概念、よりシンプルなコードの書き方など様々なプログラミングのエッセンスを学ぶことができました。

またオープンソースでコードを公開することのメリットや楽しさも知ることができ、外に出すのも恥ずかしいようなコードでもとりあえず公開しておくと、自分にとっても役立つし、誰かのためにもひょっとしたら役に立つかも、と思うようになりどんどんコードを公開するようになりました。

その後、別のイベントで青木さんにまたコードを添削していただく機会に恵まれました。昔よりはプログラミングができるようになったけど、いまいちどこを改善して良いのか解らないと思っていたいましたが、様々な箇所に指摘をもらい、またプログラミングのテクニックを学ぶことができました。

Rubyist Magazine 出張版 正しいRubyコードの書き方講座」では、私のコード改善も含めた系6本の具体的なリファクタリング手法が載っています。実践的な内容になっており、実際のライブラリをどう改善するかというのがストーリーとして書かれており、読み物としても面白いです。リファクタリングのポイントも「コーディングスタイル」「プログラミング一般」「Rubyプログラミング一般」「オブジェクト指向プログラミング」「リフレクション(Ruby では今ではメタプログラミングという表記が一般的でしょうか)」と様々な視点が書かれており、Ruby のみならず標準的なプログラミングの考え方についても解説されています。

また、優秀なプログラマはそれぞれ、ポリシーを持ってコード書いており、たとえば空白スペースやインデント、メソッド名のつけ方一つとっても「なんでそのようなコードになってるか」一つ一つ説明できるような意味を持ってつけています。私が尊敬しているプログラマの一人である青木さんが、どんなポリシーを持ってコードを書いているかも解説されているのも嬉しいですね。

コードが書けるようになったは良いけど、どうやったらより良いコードになるか解らない、そんなプログラミング初心者は手にとって読んでみると、新しい発見があると思います。また本の内容も難しくなく「リファクタリングの本を読んでみたけど、正直よく解らなかった…」という方も読んでみてはいかがでしょうか。本自体は今風ではないですが、プログラミングのエッセンスは十分生かせる内容となっています。

プログラミング技術を向上させるには様々な方法があります。自分の場合は書籍を読んだり公開されているコードを読んだ時にも確かに技術や考え方は向上したと思うのですが、何よりも確実に向上したと思えたのが誰かに「添削」されたときでした。青木さんの添削もそうですし、同僚からのコードレビューもそうでしたし、オープンソースで公開したコードがリファクタリングされたときもそうでした。

今現在は当時とは違い、github を中心としたコミニュティベースでのソースコードの公開、添削、改善のサイクルが生まれています。あなたの公開したコードが昔よりもさらにより誰かが改善してくれやすい環境になっているでしょう。書いたコードが手元で眠っているなら、それをパブリックな場所で公開してみてはどうでしょうか。そのコードを添削してくれる誰かが現れ、よりあなたのプログラミング技術が向上するかもしれませんよ。

ちなみに本稿の話に出てきた tdiarytimes.rb、青木さんがリファクタリングされた tdiarytimes2.rb は現在も tDiary の git レポジトリに入っており、github 等から取得することができます。今見返したら tdiaritymes.rb はメソッドでもなんでもない箇所に、ベタで70行以上もコードが書いてあり歴史を感じることができました…。